訪問者はガーゴイルだった
イシェルナでは僕たち冒険者によって
ガーゴイルの開放が行われて交流ができたとはいえ
こちらの世界では文明的なガーゴイルを見かけることはほとんどない
そんな人々の好奇心の混じった視線にはそ知らぬ顔で
ガーゴイルは僕たちの前に来ると尋ねだした
「あ〜すんません」
「はい?」
「ここはべスパーの銀行前ですか?」
「ええ、ここが銀行前です」
住所を尋ねるガーゴイルに僕らは少し戸惑いながらも説明した
「お〜あってたあってた、ここがべスパーの3丁目ですね」
「さ・・・3丁目だったんですか?ここ・・・」
ガーゴイルのほうが地理に詳しいというのも
地元としてなんか複雑な気分だったが・・・
「と、ええと、ここにHiroさんという方は居ますか?」
不意にガーゴイルが僕の名前を呼んだ
「ええ・・・僕がそうですが」
ガーゴイルに名前を覚えられるようなことをした覚えがないが
そんなことを考えて困惑している僕にガーゴイルは元気よく言った
「Hiroさんにお届けものがあるんですよ」
「ぼくに?」
僕への届け物・・・
僕にも心当たりがやっとできた
「すみません、それはSkyからのですか?」
「お〜そうそう、Skyさんからの宅配便ですよ」
Skyからの届け物、僕はそれが何か、とても楽しみだった
「あ〜ハンコもらえますか?」
僕はガーゴイルの差し出した伝票(?)にサインをすると
かわり大きなバックを受け取った
「それじゃ、ガーゴイルの宅急便をまたご利用ください!」
「あ、まってください!」
僕はひとつ思いついて、あわててガーゴイルを呼び止めた
「なんですか?」
「これを」
僕はバックからSkyの皮を一山分取り出すと、ガーゴイルに渡した
「これをSkyへお願いします。それと伝言を」
『残りの皮は僕が持っています、だから、またいつでも戻ってくるようにと』
「そう伝えてもらえますか?」
「了解!」
ガーゴイルは元気にそういうと、忙しそうに飛んでいった

「何が送られてきたんだ?」
仲間たちからの声にせかされて
僕はバックの中身を確認することにした

中に入っていたのは大量のケーキと『小さな物語』と名づけられた一冊の本だった
ケーキからはかつての畑で見たのと同じように
たった今できたかのようなよい匂いがしていた
さすがにここでケーキを食べるわけにも行かないかな
そう思った僕はいろいろと質問してくる仲間には何も答えずに、ただいたずらっぽく笑うと
自分の家へのゲートを出し、仲間についてくるようにいった

家に着いた僕は,皆にSkyのケーキを振舞った
ケーキはとても沢山で僕らが全員が食べてもまだ余った
Skyのケーキはとても甘くて、とてもおいしかった
その味は酒場での思い出を思い出させてくれた
そして何よりも
(SkyはあっちでもSkyのままなのだろう)
僕にはそれが何よりも嬉しかった

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